歯のメンテナンス

一方、海外に目を向けると、スウェーデンでは2013年時点で80歳以上の平均残存歯数が21.1本（Swedish Dental Journal, vol.39, 2015）と報告されています。

この差を生んだのは、「予防」の意識の違いです。
日本では「歯が痛くなったら歯科医院へ」という考え方が一般的ですが、スウェーデンでは「歯を守るために定期的に歯科医院へ通う」ことが主流です。実際、スウェーデン国民の80%以上が定期メンテナンスを受けているのに対し、日本では10%未満にとどまっています（日本臨床歯周病学会調べ）。

この違いが、80歳時点での「5本の差」となって表れているのです。

当院では、皆さんの大切な歯を長く守るため、スウェーデン方式に基づいた予防歯科を実践しています。

お口の咬合（噛み合わせ）が適切な状態になっているかどうかを確認します。噛み合わせが悪いと、歯にかかる負荷のバランスが悪くなることで、さまざまな悪影響を及ぼすことになります。

歯周病の進行度を判断するために、歯周ポケットの深さを測定します。歯周ポケットの深さが1～3mmであれば、歯ぐきは健康な状態と判断できます。しかし、歯周ポケットの深さが4mmを超えると、歯周病が進んでいる可能性があります。

歯周病が進行すると、歯を支える骨が溶けてきます。CTやデンタルレントゲンにより、お口の状態、顎骨の状態、咬合の状態を入念に検査します。

専用カメラで歯や歯ぐきを撮影し、虫歯や歯周病の兆候、磨き残しの状況などを視覚的に記録します。撮影した写真は、現在の状態を客観的に知るだけでなく、治療や予防計画を立てる際にも活用されます。さらに、定期的に撮影を重ねることで、ケアの効果や変化を確認できるため、患者さん自身のモチベーション向上にもつながります。

歯周病や虫歯の原因菌は集結して「バイオフィルム」というヌメリのあるバリヤーを作り、増殖を進めていきます。バイオフィルムは目には見えなくても、実は歯にこびりついています。歯周病を治療・予防するためには、歯垢や歯石だけでなく、このバイオフィルムも取り除かないといけません。

当院では、「エアフロー」という機械を使ってバイオフィルムを落とします。

「エアフロー」は、歯の表面に微粒子のパウダーを吹き付け、歯垢や汚れを取り除きます。エアフローを使うと、歯や歯肉を傷つけずにバイオフィルムを取り除くことができます。

虫歯や歯周病を予防するには毎日の歯磨きは必須です。それでも、歯と歯の間や歯周ポケットの奥に歯垢や歯石が溜まっていくのを完全に防ぐことはできません。このような汚れを取り除くためには、どうしても専門的な歯科クリーニングが必要となります。

当院では、訓練を受けた歯科衛生士が「PMTC（Professional Mechanical Tooth Cleaning）」を実施しています。PMTCは、専門器具を使用した口内のクリーニング技術のことを言います。

PMTCでは、スケーラーと呼ばれる器具を使って、歯に固着している歯石を丁寧に取り除いていきます。

お口の中には何兆個もの細菌が棲みついていて、絶えず善玉菌と悪玉菌が勢力争いをしています。この勢力バランスが崩れ、悪玉菌が多くなると、虫歯や歯周病が進みやすくなります。

当院で行うプロバイオティクス療法は、善玉菌を主成分とするタブレットをお口に含んでもらい、お口の中の細菌の勢力バランスを善玉菌優位にします。

仕上げに「高濃度フッ素」を塗布します。

歯磨き粉の主成分としてもおなじみのフッ素ですが、フッ素には、エナメル質の修復作用、歯質強化作用、減菌作用などがあります。
高濃度フッ素は歯科医院のみでしか扱えません。歯科医院では、通常の18倍（9000ppm）もの高濃度のフッ素を利用して、虫歯の予防を図ります。